施主は、30代後半単身で、5年毎にマンションの買替えを考えており、2度目の購入として、都内で40~60㎡の規模の物件を探していた。立地の良さが持つ資産価値を重視して、40㎡という少し狭い物件を選択することになり、広く使えるようなプランが求められた。
生活のスタイルとしては、テレワークや出張が多いため、休みの日に友人を呼んだり、日々の仕事の気分の切り替えができるように、ホテルライクな空間が望まれた。
そこで、水回りを部屋の中心に配置し、1室空間とすることで、空間を広く使えるようにしつつ、回遊できるプランとした。また、使い方に応じて、空間の連続性を変えられるように、コア部分に間仕切りを収納できるSLITを設けた。
このSLITや開口部など部屋の境界には、真鍮塗装を施すことで、1室空間でありながら、空間の切り替えが感じられる要素を付加した。
間仕切りは、安価に取替えられるように、紙と汎用品を用いて、強度を出すための折りを加えて、自主製作した。紙の透過によって、人影が感じられる程度に柔らかく空間を間仕切っている。
このように構成することで、動き回れる気楽さと非日常的なゴージャスさを感じられる空間を目指している。
所在地:東京都中央区
主要用途:住宅
設計監理:梅岡恒治(梅岡設計事務所)+山田美紀(山田美紀一級建築士事務所)
施工:株式会社 ヨシナガ工業
延床面積:40.50㎡
設計期間:2021年7月~2021年11月
工事期間:2021年12月~2022年2月
竣工:2022年2月
撮影:小野寺宗貴